JES2012 症例集

症例1
70歳 男性

【診断】左下肢閉塞性動脈硬化症
CIA・CTO症例

【主訴】
左下肢間歇性跛行(IC 300m)
【起始・経過】
2005年より左下肢のIC出現。他院にて糖尿病のコントロール、保存的治療(シロスタゾール)を行ったが改善されないため、当院紹介受診となった。
シロスタゾールの内服を継続も、やはりICは改善されず、日常生活に支障をきたすとのことで、手術予定となった。
【既往歴】
高血圧(+)、糖尿病(+)、脂質異常症(−)、s-Cr 1.02mg/dl
喫煙歴(+) 20本/day
【現症】
ABI 右 0.60 左 0.59
【治療計画】
左CIA PTA/stent(Luminexx使用予定)
JES2012 症例1

Live初
症例2-5
77歳 男性

【診断】胸部大動脈瘤 (∅6.0cm)
腹部大動脈瘤 (∅5.5×6.1cm)
Double Chimney TEVAR+ステントグラフト

【主訴】
検査異常(他疾患精査時)
【起始・経過】
2012年5月 排尿障害にて精査時、初めて胸部大動脈瘤(TAA)と腹部大動脈(AAA)を指摘され、紹介受診となった。
【既往歴】
55歳 stanfordB解離(詳細不明)
77歳 胃癌→内視鏡的切除
高血圧(+)、糖尿病(−)、脂質異常症(+)、 慢性腎不全(+)、s-Cr 1.26mg/dl
【治療計画】
胸部大動脈も腹部大動脈も大きく、同時治療が必要な上に77歳と高齢のため、低侵襲で同時治療が可能なステントグラフト術による同時治療を予定
TAA(弓部)は、頸部分枝を巻き込む形で存在するため、double chimney technique(両側頸動脈ステント術)を用いて中枢側のlanding zoneを確保し、TAGを留置予定
AAAに対しては、neckの高度屈曲症例に適したステントグラフトで治療予定
JES2012 症例2-5
JES2012 症例2-5

症例6
72歳 男性

【診断】右腎動脈狭窄・CKD(片腎)

【主訴】
腎機能障害
【起始・経過】
2年前より腎機能障害のため近医でフォローされていたが、2011年2月に腎機能悪化のため精査目的で当院受診し、2011年11月に血管造影を施行。
右腎動脈は50%狭窄、Cr1.9mg/dl、血圧のコントロールも良好であったため、経過観察とした(左腎動脈はもともと閉塞しており、高度萎縮している)。
2012年6月Cr 3台まで上昇し、血圧のコントロールも不良となった(降圧剤2剤内服中)。また、超音波所見ではVmax2.6(m/s)と上昇傾向であっため、腎血管性高血圧治療と唯一の腎臓保護・萎縮予防を目的にステント予定となった。
【既往歴】
60歳 S状結腸癌
高血圧(+)、糖尿病(+ : HbA1c 6.4)、脂質異常症(+)
【治療計画】
腎動脈PTA/stent (Express SD使用予定)
JES2012 症例6

Live初
症例7
82歳 男性

【診断】胸部下行大動脈瘤(∅5.5×6.1cm)
局所麻酔下・経皮的TEVAR

【主訴】
検査異常(胸部レントゲン)
【起始・経過】
かかりつけ医で定期健診の胸部レントゲン異常を指摘され、その後、CT施行したところ、胸部下行大動脈瘤を指摘された。精査・加療目的に当科紹介受診となった。
【既往歴】
腰部脊柱管狭窄症
高血圧(+)、糖尿病(−)、脂質異常症(−)、 s-Cr 1.58mg/dl
【治療計画】
日米同時治験中のdeviceであるZTLPを用いたTEVARのLive予定。
Low profile(18Fr)の特性をいかし、カットダウンは行わず、Percloseを用いて、経皮的・局所麻酔下で治療
JES2012 症例 7

Live初
症例8
70歳 男性

【診断】腹部大動脈瘤(∅5.0×5.3cm)
局所麻酔下・経皮的EVAR

【主訴】
検査異常(腹部超音波)
【起始・経過】
2010年健診の超音波検査にて腹部大動脈瘤を指摘された。
2011年7月のCTでは、∅4.4×4.4cmと小さく、経過観察となっていたが、1年後のCTにて∅5.0×5.3cmと増大したため、手術予定となった。
【既往歴】
高血圧(−)、糖尿病(−)、脂質異常症(−)、s-Cr 0.94mg/dl
【治療計画】
日米同時治験中のdeviceである最新型ステントグラフトXを用いたEVARのLive中継。症例7のZTLP同様、low profile deviceのため(メインボディー:12Frシース相当)カットダウンは行わず、経皮的・局所麻酔下に治療予定。
JES2012 症例8

Live初
症例9-11
73歳 男性

【診断】傍腎動脈型腹部動脈瘤(腎動脈下∅6.0×6.1cm) Double snorkelテクニック

【主訴】
検査異常
【起始・経過】
2005年に検診にて傍腎動脈型腹部大動脈瘤を指摘され、近医で経過観察となっていた。2012年、瘤径の増大が認められたため、当科紹介受診となった。
【既往歴】
腰部脊柱管狭窄症
早期胃癌;今後治療予定
喫煙;70歳から禁煙
高血圧(−)、糖尿病(−)、脂質異常症(−)、 s-Cr 0.73mg/dl
【治療計画】
胃癌治療(LADG)が控えているので開腹人工血管置換術は回避したい。
中枢側short neck(6mm)なのでlanding zone確保のため、double snorkel(両側腎動脈ステント)法を用いたEVAR予定(Excluder使用)
JES2012 症例9-11

症例12
31歳 女性

【診断】下肢静脈瘤(両側大伏在type)
保険適応レーザーで自己負担26万円減
銀座7丁目クリニック

【主訴】
右下肢だるさ、かゆみ
【起始・経過】
5〜6年前より(出産を契機に)、右下腿の静脈瘤と、主訴が出現した。瘤のsizeとともに、症状が次第に増悪し、第2児出産の前に治療を希望し他院受診。他院で自費診療(30万円)の保険未収載レーザー治療を勧められたのでセコンドオピニオン目的に当院受診。当然、成績ほぼ同等、自己負担1/8のELVeSレーザー治療を選択。
【CEAP分類】
Clinical sign 右C2、左C1
【下肢超音波検査】
両側大伏在静脈の逆流が認められる
【治療計画】
右大伏在静脈レーザー治療(ELVeSレーザー使用)+ 瘤切(stub avulsion法)。
左大伏在逆流は無症候性なので経過観察。
JES2012 症例12:銀座七丁目クリニック 静脈瘤治療

症例13
47歳 男性

【診断】閉塞性動脈硬化症(SFA TASC D)
Viabahnによる血管内FPバイパス

【主訴】
右下肢間歇性跛行(IC 50m)
【起始・経過】
2011年9月頃より、左下肢の間欠性跛行(150m)が出現。他院の循環器内科で受診し、EVTを施行するも左CIAのCTO病変のlesion crossできず、治療せずに退院となった。
その後、血管内治療の可能性を認めて当科受診。2012年5月にCIAのCTO病変に対して、stent(Luminexx)をさっと留置(左ABI 0.46→0.74)。
左下肢の治療成功後、右のIC300mが顕在化したため、今回は右のSFAのCTO病変に対して手術予定となった。
【既往歴】
CRF(HD:2001年6月〜)、30歳 緑内障にて全盲、高血圧(+)、糖尿病(+:腎症、網膜症)、脂質異常症(−)、喫煙歴:30本/day(18〜44歳)
【治療計画】
右のSFAの病変:CTO 病変は12cm + stenosis病変 6cm
CTO病変のlesion crossが可能であったら、Viabhanにて血管内F-P bypass予定
JES2012 症例13

Live初
症例14
71歳 男性

【診断】右内頸動脈狭窄症 Flow reversal法による脳保護

【主訴】
両下肢のだるさ(左>右)
【起始・経過】
2010年、左CCA stenosisに対し、当院にてCEA施行。
術後経過観察中、右ICA stenosisの進行が認められたため手術予定となった。
【既往歴】
狭心症;PCI(55歳)、CABG(66歳)
高血圧(+)、糖尿病(−)、脂質異常症(+)、s-Cr 1.04mg/dl
喫煙;40本×30年 (現在は禁煙中)
【治療計画】
病変の末梢はC3下縁のため、慈大式CEAも可能であるが、頸椎症が最近悪化し、手の痺れも出現。後屈不能となったため、頸動脈ステント留置術を選択。
究極のProtection device であるflow reversalを用いて治療。
JES2012 症例14

症例15
69歳 男性

【診断】左内頸動脈狭窄症
毎年恒例・好評の慈大式CEAライブ

【主訴】
検査異常、左耳鳴り
【起始・経過】
2006年6月にめまい・呂律障害、8月に左同名半盲が出現した。
他院での超音波検査で頸動脈狭窄症を指摘されfollowされていたが、狭窄率の進行を認め、当科紹介となった。
【既往歴】
30歳代:高血圧
40歳代:C型肝炎
63歳:パニック障害
脂質異常症(−)、糖尿病(−)、s-Cr 0.72mg/dl
喫煙歴:30本/day(20〜65歳)・禁煙成功
【治療計画】
CASをやる言い訳がないのでCEA。小切開(約3cm)+術中脳梗塞ゼロ実績の慈大式Eversion法を用いた左頸動脈内膜剥離術。
JES2012 症例15

症例16
70歳 男性

【診断】閉塞性動脈硬化症(SFA stent後再狭窄)
Zilver PTXなら大丈夫か?

【主訴】
左下肢間歇性跛行(IC 150m)
【起始・経過】
2007年6月より出現したIC200mに対し2009年当科を紹介受診し、ASO(右EIA CTO、左EIA stenosis)の診断で、2009年8月両側EIA stent術を施行。
術後ABI改善したが(右0.40→1.0 左0.73→0.76)、その後左SFAの未治療病変が悪化したため、再度間歇性跛行が出現し、2010年5月左SFA stent術施行(Misago治験(オスプレイ)。SFA stent後10ヶ月の時点で再々度左間歇性跛行出現し、精査の結果、ABI低下。及びSFA stent術後のstent内再狭窄が疑われたために治療予定となった。
【既往歴】
高血圧(+)、糖尿病(−)、脂質異常症(+)、s-Cr 0.81mg/dl
【治療計画】
左SFA 狭窄+SFA stent内再狭窄に対してPTA/stent(薬剤溶出Zilver PTX使用)
JES2012 症例16

症例17-18
78歳 男性

【診断】胸部大動脈瘤(遠位弓部φ6.0cm)
/左鎖骨下コイル塞栓術
弓部瘤にもピッタリフィットのTX2proform

【主訴】
検査異常、嗄声
【起始・経過】
2009年4月に他院にて右気胸に対してVATSを施行。その後のfollow up中にTAAを指摘された。経過観察中に瘤径拡大を認められ、当院紹介受診となった。
【既往歴】
61歳 脳梗塞(現在麻痺なし)
71歳 心筋梗塞⇒PCI、肺嚢胞⇒VATS(他院)
75歳 心房細動、気胸⇒VATS (他院)
76歳 腎血管性高血圧⇒腎動脈ステント留置(他院)
糖尿病(−)、脂質異常症(+)、喫煙歴(−)、s-Cr 0.94mg/dl
【治療計画】
TEVAR(弓部瘤にもピッタリフィットのTX2proform使用予定)
左鎖骨下Orbitコイル塞栓術
JES2012 症例17-18

症例19-21
73歳 男性

【診断】胸部大動脈瘤(遠位弓部瘤∅6.0cm)
腹部大動脈瘤(∅4.8×5.6cm) / 右総腸骨動脈(∅4.0cm)

【主訴】
検査異常
【起始・経過】
心房細動にて他院加療中であり、心エコーを行った際、胸部大動脈瘤を指摘された。精査にて胸部の他に腹部大動脈瘤も認められ、治療目的に当科紹介受診となった。
【既往歴】
尿管結石
高血圧(+)、糖尿病(−)、脂質異常症(−)、 s-Cr 1.34mg/dl
【治療計画】胸部・腹部同時治療
(1) TEVAR(遠位弓部にも対応できるValiant使用)
(2) 左鎖骨下動脈Orbitコイル塞栓術
(3) EVAR(best of both worldsのEndurant使用)
JES2012 症例19-21

Live初 症例22-25
71歳 女性

【診断】胸腹部大動脈瘤(Crawford I )(∅5.7×6.1cm)
枝付きステントグラフト ライブ登場

【主訴】
他疾患精査
【起始・経過】
2004年 大動脈解離(Stanford A)を発症し緊急手術にて上行Hemiarch置換術施行。2008年再度大動脈解離(Stanford B)発症し入院。保存的治療にて症状軽快したが、その際に中枢側人工血管吻合部瘤、及び胸腹部大動脈瘤 (TAAA)を指摘された。
中枢側吻合部瘤に対して、2011年5月当院にて上行置換術施行。今回胸腹部大動脈瘤に対して手術予定となった。
【既往歴】
高血圧(+)、糖尿病(−)、脂質異常症(−)、 s-Cr 0.6mg/dl
【治療計画】
Live初の枝付ステントグラフト術予定
Branched-EVAR:t-branch(両側腎動脈、上腸間膜動脈の枝付ステントグラフト+Celiac Artery coil塞栓術予定)
JES2012 症例22-25

症例26
77歳 女性

【診断】右腎動脈瘤(∅1.1×1.2cm:嚢状瘤)

【主訴】
検査異常
【起始・経過】
2011年10月 健診のCTにて右腎動脈瘤を指摘された。他院受診し、開腹手術を勧められたが、second opinion目的に当科受診となった。
【既往歴】
53歳 子宮筋腫
高血圧(−)、糖尿病(−)、脂質異常症(−)、s-Cr 0.66mg/dl
【家族歴】
父:42歳 脳出血
兄:19歳 脳出血
(夫:76歳 脳出血)
【治療計画】
右腎動脈瘤に対して、まずBMSを留置しparent vesselを保護。マイクロカテーテルをBMSを通過させ瘤内に挿入し、Orbitコイル塞栓術予定。
JES2012 症例26