実行委員長ご挨拶

第17回 Japan Endovascular Symposium 開催ご報告

大木 隆生

第17回Japan Endovascular Symposium(2022年8月26日・27日・28日 オンライン開催)を成功裏に終えることができました。

オンライン開催となって、3回目のJESとなりました。今年の参加者は昨年より増えて1060名、2日間の延べ視聴者数は1300名を超え、また常時視聴者が400名を超える大盛況でした。
昨年よりもさらに参加者が増え、医師の参加が約550名もあったことはこのうえない喜びです。JESに参加したくても、なかなか病院を離れられず参加できなかった遠方や若手医師の潜在的ニーズに応えることができたことは、オンライン開催の最大の長所です。一方、一般的にオンライン開催は質疑応答が盛り上がらない点が短所とされていますが、JESでは杞憂でした。一般視聴者から口頭あるいはチャットを活用したご質問が多数あり、全てにお答えしきれないほど活発でした。また、不成功・反省症例検討会では、視聴者によるリアルタイム投票で優秀演題賞を決定するなど対面と変わらない参加者との双方向性と一体感をもって開催できたことはJESの真骨頂だと思います。

プログラムに関しては、多数の不成功・反省症例の応募をいただき、また有難いことに企業共催も例年以上にご協力のお申し出をいただきましたので、JES開催以来初の2.5日開催となりました。合計27セッション、で25時間半の予定でしかたが議論が白熱したために28時間の中継となってしまいました。そしてその全てのセッションの座長を私がつとめましたが、これはギネスレコードではないでしょうか。昨年に引き続き原正幸・事務局長や外科学会事務局の宿澤孝太が中心となりプログラムを策定しましたが、おかげさまでどのセッションでも活発なディスカッションが展開されました。そのため、セッションの合間にあった計22回、延べ220分の休憩時間を全て議論に回してしまい、28時間休憩なしとなりました。また、中継に遅延やトラブルは全くありませんでした。発表以外での遅延は座長である私の不手際のせいですが、JESは徹底した討論をモットーとしておりますので、若干のプログラム遅延に関してはJES名物と大目に見ていただけましたら幸いです。

今年のプログラムで特筆すべきは、不成功・反省症例検討会で発表の演題でした。厳しい経験を、勇気をもって発表いただきありがとうございました。普段はディスカッションすることがない他施設の先生方との白熱したディスカッションを通じて、明日からの臨床にすぐにでも役に立つ数々の教訓があり、JESの参加医師が自施設でこの情報もちかえって共有をするだけで、JESは数百人・数千人の患者の命を間接的に救っていると自負しています。今年のJESを終えて、過去17年間、楽しいことばかりではありませんでしたがJESを継続してきてよかったと心から思えました。何よりも、発表あるいは質疑に参加していただいたみなさまの「血管愛」が滲み出たJESであり、JES仲間で一丸となって患者さんの治療を考えた2.5日間であったと感動的ですらありました。改めて御礼申し上げます。

第1回目から実施しているJES参加者アンケートは385名と多くの方からご回答頂きました。そして多くの書き込みを頂きありがとうございました。すべてのコメントに目を通させて頂きました。ほぼ100%の皆さんに「今年のJESは有意義、あるいは面白かった」「オンライン開催はよかった」と回答いただき安堵いたしております。「JESに求めるものは?」という質問には1)新しい知見、2)他の学会にはない徹底討論、3)大木のトークがいずれも70%強と強く支持されておりましたので、今後もこうした声に耳を傾けつつ通常学会との差別化をはかり、JESの特色を出して参りたいと思っております。その他のアンケート結果をまとめたデータは参加者アンケートよりご高覧をお願いいたします。

さて、来年の開催方法については、JES2022に関するアンケートでいただいたご意見をふまえながら、検討したいと思っています。またプログラムについてもさらにパワーアップすべく、さっそく今日から旬な話題を医局員と模索して参ります。

なお、オンデマンド配信については、今回も多くの方からご要望をいただきましたので、許諾が得られたプログラムの講演について、準備をすすめております。公開ができるタイミングになりましたら、改めてご案内いたします。

皆さまの参加があってのJESですので改めて感謝申し上げます。来年の参加も心よりお待ちしています。

第17回 Japan Endovascular Symposium 開催にあたって

2022年8月26日(金)・27日(土)・28日(日)JES2022(第17回ジャパンエンドバスキュラーシンポジウム)をオンライン開催いたします。

過去15年にわたり、JESは8月の最後の週に東京慈恵会医科大学で、全国から毎年約1000名の参加者が集い、熱気あふれる会場で開催することが当たり前の光景でした。しかしながら、新型コロナウィルス騒動により完全オンラインで3回目の夏を迎えます。
オンライン開催でも、現地参加同様1500名近くの参加登録をいただき、そのうち500名以上が全国各地の医師でした。これまでJESに参加したくても、なかなか病院を離れられず参加できなかった医師の潜在的ニーズにも応えることができまさにピンチはチャンスと感じています。

今年は、ありがたいことに企業共催セミナーとファカルティからの演題の申し出も大変多く、JES史上初めて半日長い2.5日のプログラム構成としました。
JESの真骨頂である反省症例の提示とディスカッションの時間も十分にとっていますので、オンライン参加でも積極的に議論にご参加いただき共に第17回JESを盛り上げていただき微力ながらこの分野のレベルアップと隆盛に寄与したいと思います。

第17回 ジャパン エンドバスキュラー シンポジウム (JES 2022)
実行委員長 大木 隆生
東京慈恵会医科大学 外科学講座
統括責任者・血管外科教授
https://twitter.com/Ohki_TakaoMD