JES2010 症例集

症例1
51歳 女性

【診断】 脾動脈瘤(φ1.5x1.2cm saccular type)

【主訴】
検査異常
【起始・経過】
2008年11月、胆石症の術前精査にて脾動脈瘤を指摘された。
超音波検査で半年毎にfollow upされていたが、
セカンドオピニオン目的に当科受診。
【既往歴】
48歳 高血圧、脂質異常症
49歳 胆石症→腹腔鏡下胆嚢摘出術
【治療計画】
脾動脈コイル塞栓術(Orbit coil)

JES2010 症例1

本邦初 症例2
82歳 男性

【診断】左内腸骨動脈瘤 (φ6.5×6.0cm)

【主訴】
検査異常
【起始・経過】
2010年5月、腹痛で近医受診した際に施行した腹部CTで左内腸骨動脈瘤を指摘された。複数の開腹手術歴、COPDがあることから、ステントグラフト治療目的に当院紹介となる。
【既往歴】
50歳 十二指腸潰瘍→胃切除、胆摘
67歳、69歳 大腸癌手術
糖尿病(-)、 脂質異常症(-)、 COPD(+)、 喫煙歴:15本/day(20〜80歳)
【治療計画】
裏口閉鎖:左内腸骨動脈瘤コイル塞栓術(Orbit、本邦初公開 ヨット部作戦)
表玄関閉鎖:Gore iliac extender

JES2010 症例2

症例3・4
68歳 男性

【診断】ASO(右CIA狭窄/左EIA閉塞)

【主訴】
間歇性跛行
【起始・経過】
2007年、左下腿の間歇性跛行(200m)認め、他院循環器内科受診。薬物療法にて2年間経過観察されていたが、症状改善無いため2009年当院紹介受診。
2010年3月よりプラビックス治験を開始し、間歇性跛行(500m)まで改善したが、本人より手術の強い希望があり、手術となる。
【既往歴】
65歳 慢性関節リウマチ
66歳 心筋梗塞→PCI
高血圧(-)、糖尿病(-)、脂質異常症(-)、喫煙歴:20本/day(21〜65歳)
【治療計画】
右CIAstent(Express)、左EIAstent(Luminexx or Zilver)

JES2010 症例3・4

症例5
17歳 女性

【診断】右腎動脈閉塞症/腎血管性高血圧症

【主訴】
高血圧
【起始・経過】
2009年(16歳時)に他疾患(肺炎)精査中、高血圧およびCTにて右腎萎縮を指摘され、大動脈炎症候群と診断。
腎血管性高血圧の加療目的に紹介となる。
【既往歴】
16歳 高血圧・大動脈炎症候群・心筋炎
糖尿病(-)、脂質異常症(-)
【治療計画】
とりあえず右腎動脈PTA、ステント
結婚するまでbypass術を遅らせる。

JES2010 症例5

症例6
76歳 女性

【診断】AAA (φ5.4×5.3cm)、proximal neck φ1.2cm

【主訴】
検査異常
【起始・経過】
C型肝炎の経過観察中、2008年にAAA(φ4.8cm)を指摘。
2010年にφ5cm以上となったため、患者自身が治療が必要ではないかと思い当院を受診。
【既往歴】
68歳 高血圧、C型肝炎
糖尿病(-)、脂質異常症(-)、喫煙歴(-)
【治療計画】
細いproximal neckをBell bottomでφ1.8cmまでsize up してからEVAR (Excluder)
胸部下行大動脈Shaggy故Excluder

JES2010 症例6

本邦初 症例7・8
79歳  男性

【診断】TAA (distal arch φ5.8cm・saccular type)

【主訴】
嗄声
【起始・経過】
2009年春頃より嗄声出現し、2010年3月近医受診した。左反回神経麻痺を認め、CT精査でTAAを発見され、当院紹介となった。
【既往歴】
41歳 胃切除、 62歳 総胆管結石→手術
66歳 慢性硬膜下血腫→手術
糖尿病(-)、脂質異常症(-)、喫煙歴:10本/day(20〜77歳)
【治療計画】
本邦初のConformable-TAG (C-TAG)による治療。
アクセス不良につき右総腸骨動脈アプローチ。それに先立ち、SCA-SCAバイパス術

JES2010 症例7・8

本邦初 症例9
83歳 男性

【診断】TAA (distal arch φ6.8cm saccular type)

【主訴】
検査異常
【起始・経過】
2010年1月に肺炎精査でTAAを偶然に指摘され当科紹介となった。
【既往歴】
82歳 TIA・高血圧・COPD
糖尿病(-)、脂質異常症(-)、喫煙歴:20本/day(20〜60歳)
未治療AAA(φ3.5×3.8cm)
【治療計画】
本邦初公開 TEVAR(弓部瘤故TALENT Xcelerant)
左鎖骨下動脈コイル塞栓(Orbit coil)

JES2010 症例9

症例10
60歳 男性

【診断】CAAD φ7.0×6.8cm

【主訴】
検査異常
【起始・経過】
2005年DA(Stanford B型)を発症し、他院で保存加療されていた。徐々に瘤径拡大を認めたため、2009年当院紹介。ステントグラフト治療予定となるも、術前待機中に上行解離を発症し、他院で緊急弓部置換術が施行された。今回、残存するCAADに対してステントグラフト治療目的に紹介。
【既往歴】
45歳 HCC (HBV+)→肝切除術、45歳 右腎癌→右腎摘出術
55歳 DA (Stanford B型)→保存加療
60歳 DA (Stanford A型)→弓部置換
高血圧(+)、糖尿病(-)、脂質異常症(-)、喫煙歴(+)
【治療計画】
TEVARによるPrimary tearの閉鎖(解離瘤故TAG)
Secondary tearに対する治療は術中判断(放置 or Covered stent)

JES2010 症例10

症例11
67歳 男性

【診断】右内頸動脈狭窄症(無症候性 NASCET 70%)

【主訴】
検査異常
【起始・経過】
2010年1月右第1,2指麻痺、右顔面神経麻痺出現。近医にて左脳梗塞と診断。精査にて両側内頸動脈狭窄を指摘され、当科紹介。99%狭窄であった症候性左内頸動脈狭窄症に対し2010年4月当科で左CEAを先行。今回、右内頸動脈ステント予定となる。
【既往歴】
53歳 糖尿病
55歳 高血圧 喫煙歴:20本/day(20〜50歳)
【治療計画】
右内頸動脈ステント(Carotid Wallstent/Filterwire)
(病変末梢側がC2と高位病変である故)

JES2010 症例11

症例12・13
79歳 男性

【診断】右内頸動脈狭窄症 (無症候性・NASCET 90%)
AAA (φ62x54mm)

【主訴】
検査異常
【起始・経過】
1999年AMI発症しPCIの際、他院で偶然AAAを指摘されfollowされていた。
瘤径拡大を認め当科紹介。当科の精査で両側内頸動脈高度狭窄、両側腎動脈狭窄、AAAの診断に至った。2010年3月、当科で左内頸動脈ステント留置術、右腎動脈ステント留置術を施行。今回、残存する右内頸動脈狭窄、AAAの治療を行う事となる。
【既往歴】
68歳 AMI→PCI(BMS留置)
79歳 左内頸動脈狭窄→内頸動脈ステント 右腎動脈狭窄→腎動脈ステント
高血圧(+)、糖尿病(-)、脂質異常症(-)、喫煙歴:20本/day(20〜68歳)
【治療計画】
(1) 右内頸動脈内膜剥離術(Eversion法)
  (・脳梗塞リスクがCASに比べ低い:1/3
   ・Distal ICAに屈曲がありprotection困難
   ・Distal ICAの屈曲がCEAで同時に治療できる)
(2) EVAR(Zenith Flex)(腸骨動脈の屈曲強い故)
  ※ライブデモンストレーション5で供覧

JES2010 症例12,13

本邦初 症例14,15,16
81歳 女性

【診断】右頸動脈狭窄(ICA,CCA)/右腎動脈狭窄(RVHTN、コントロール不良)

【主訴】
検査異常
【起始・経過】
2006年、大動脈炎症候群の精査にて、他院でTAAA(φ3.7cm)を指摘。
2010年、瘤径拡大(φ5.4cm)を認め当院紹介。
当科での精査で総頸動脈狭窄、内頸動脈狭窄、腎動脈狭窄を認め、治療目的に入院。
【既往歴】
20歳 肺結核・気胸、 75歳 TIA
77歳 大動脈炎症候群(ステロイド内服歴なし)、77歳 大腸憩室穿孔→人工肛門造設
77歳 高血圧(降圧剤3剤内服にてもコントロール不良)
糖尿病(-)、 脂質異常症(-)、 喫煙歴(-)
【治療計画】
(1) 本邦初公開ExpressSDによる右腎動脈ステント
(2) 右内頸動脈ステント(PRECISE/Angioguard)
(3) 右総頸動脈ステント(PRECISE/Angioguard)(Tandem lesion故CASを選択) TAAAは経過観察の方針

JES2010 症例14,15,16

本邦初 症例17
77歳 男性

【診断】TAAA(φ6.2×6.0cm)

【主訴】
検査異常
【起始・経過】
2009年、前立腺癌follow upのUSにてTAAA(φ5.9cm)を指摘され当院紹介。
外来follow upしていたが、瘤径拡大認めたため、今回手術となる。
【既往歴】
76歳 前立腺癌→ホルモン療法
高血圧(+),糖尿病(-)、脂質異常症(-)、喫煙歴:10本/day(20〜76歳)
【治療計画】
本邦初公開 TEVAR Cook TX2(DistalにBare stentがあり固定が確実なので)
腹腔動脈はカバーする予定
腹腔動脈コイル塞栓術(Orbit)(Type2エンドリークの予防)

JES2010 症例17

本邦初 症例18
62歳 男性

【診断】AAA (φ60×51mm)

【主訴】
検査異常
【起始・経過】
2004年、健診USにてAAA(φ31mm)を指摘、follow upされていた。
徐々に瘤径増大し2008年に当科紹介。
2010年より腰部圧迫感も出現し、手術適応となった。
【既往歴】
15歳 虫垂切除術
61歳 前立腺癌→前立腺全摘
60歳〜高血圧(+)、HCV(+)、糖尿病(-)、脂質異常症(-)
【治療計画】
本邦初公開EVAR (Zenith LP)(アクセス不良故16FrのZenith LP)

JES2010 症例18

本邦初 症例19・20・21
78歳 男性

【診断】右SFA閉塞(CLI)、左腎動脈PTRA後再狭窄

【主訴】
右間歇性跛行 10m/ 右第1趾潰瘍
【起始・経過】
2006年閉塞性動脈硬化症に対し当科でF-P(A/K)bypass施行(CABGと同時)。
その後腎動脈狭窄悪化および未治療の右SFA狭窄に対し、2008年左腎動脈PTRA・右SFA/PTA施行。
経過良好であったが、2010年5月下旬より主訴出現。
2010年7月血管造影を行い、右SFA CTO、左腎動脈PTRA後再狭窄と診断、手術となる。
【既往歴】
74歳 CABG+左F-Pバイパス  喫煙歴:30本/day(24〜74歳)
60歳〜高血圧(+) 降圧剤1剤、糖尿病(-)、脂質異常症(-)
【治療計画】
右SFA 本邦初公開 MISAGOステント(OSPREY RCT) or VIABAHN
左腎動脈ISRに対してPTA(cutting balloon)
右第1趾デブリードマン
左腓骨動脈 PTA

JES2010 症例19・20・21

本邦初 症例22
76歳 女性

【診断】左SFA閉塞(23cmCTO TASC D)

【主訴】
左間歇性跛行(100m)
【起始・経過】
2008年左間歇性跛行(100m)出現。整形外科通院も症状改善せず。2009年10月より他院でプレタール、アンプラーグ内服するも、症状改善しないため当科紹介。JES2010 症例22
【既往歴】
66歳 高血圧
糖尿病(-)、 脂質異常症(-)、喫煙歴(-)
【治療計画】
本邦初公開 左SFA VIABAHN(病変長い故) 

JES2010 症例22

症例23
76歳 男性

【診断】右 acute limb ischemia

【主訴】
右下腿安静時痛(ALI)
【起始・経過】
2006年8月に右第4趾壊疽にて、他院で切断術がなされたが、断端部の壊疽が進行し、CLIの診断で当科受診。同年12月にRt SFA PTA/stent、peroneal 、AT arteryのPTAと、後日リスフラン切断術を施行した(ope 1)。右下肢の経過は順調であったが、2008年より左足趾の壊疽が認められ、同年5月に左distal bypass F-AT(DP) bypassと、後日壊疽部(2-5足趾)の切断術を行った(ope 2)。
2010年8月初旬に透析後より右下腿痛出現。血管造影にてRt SFAのALIであった。発症から2日以上経過しており、下肢切断も考慮したが、麻痺側でない下肢であり、近距離の移動は右下肢を用いて行っているため、なんとか救肢するために、膝下からのアプローチで、SFA-腓骨動脈の血栓除去を行った(ope 3)。
【既往歴】
57歳 DM、 67歳 脳梗塞→左半身麻痺
71歳〜 透析、 74歳 AP
【治療計画】
右下腿の血流を維持する目的で、Culprit Lesionに対するPTA/stentを予定

JES2010 症例23